田中慎弥『神様のいない日本シリーズ』読了

神様のいない日本シリーズ

神様のいない日本シリーズ

面白かった。読みごたえもあった。
芥川賞候補作の「図書準備室」のように、聞いているんだかいないんだか分らない相手に向かって延々と喋り続ける形式、と云うかそれより徹底していて、喋り倒して終わる。
でも「図書準備室」よりもこっちの方が何と云うか「文学的」に真っ当な感じ。モチーフとかメタファーとか色々解釈できそうな。「図書準備室」のあの歪さ(と「冷たい水の羊」の異様さ)が好きな者としては少しさびしいけど、田中慎弥はもう完全に純文学の書き手として王道を進んじゃうんだろうか*1

*1:まあ、もう川端賞、三島賞とってる訳だしね