『メフィスト』2008年5月号

メフィスト 2008年 05月号 [雑誌]

いやあ随分かかった。もう次の号出ちゃったよ。以下気になったもの。
西尾維新「きみとぼくが壊した世界」。章が進むごとに前の章が作中作になっていくと云う京極夏彦の『どすこい』のような仕組み。このシリーズ初めて読んだけど、他のもこう云う構成なんだろうか。この構成は好きなんだけど、それぞれの章が軽すぎて別に面白くはなかったな。
日日日「かものはし」。驚いた。日日日とはどうも合わないなあと思っていたけど、これは今まで読んだものの中で一番面白いかも。従来感じてた文章の脇の甘さがほとんどなかったように思う。最近のを読んでないので、現在の日日日はコンスタントにこれだけ書けるのかもしれない。積んでるシリーズもまた読み始めようかと思う。しかしタイトルはイマイチ。それと、ネタが西尾とかぶってて笑った。
佐藤友哉「鏡姉妹の動物会議 <鏡家サーガ>本格編 第1回 自信と侍臣」。やっぱり文芸誌のものよりこっちの方が面白いし、らしさが出ていると思う。
高里椎奈「いろはにほへと」。「すんでのところで」って「既の所で」と書くんだ。勉強になった。
竹本健治「ツグミはツグミの森 第一回」。これは面白そうな連載。続きが楽しみ。
篠田真由美「緑金書房午睡譚 第一回」。どっかで見たような、と思ったら『コミックリュウ』の「くおんの森」に似てる。まあでもこれもなかなか面白そう。
山口雅也「新・垂里冴子のお見合いと推理 第一話 見合い相手は水も滴るいい○×△？」。こう云う短編ミステリは最近はあまり好きではなくなってしまったなあ……。
柄刀一「奇蹟審問官アーサーシリーズ 第一話 バグズ・ヘブン」。でもこっちは外国が舞台なのでそこそこ興味を持って読める。
石持浅海「川端＆秋シリーズ 第一話 ふたつの時計」。続きが気になる！　続きも『メフィスト』載るのだろうか。連載ではないみたいだけど。
西澤保彦「メフィスト賞トリビュート 外嶋一郎主義」。QEDあんまり知らないんだけど、これは面白かった。て云うか西澤は確か前の『メフィスト』にもこんな感じのネタで書いてた気もするが。
時村尚「メフィスト賞トリビュート<薬屋探偵妖綺談> 一杯のカレーライス」。こっちは軽すぎるかなー。前半は面白かったけど。
「綾辻行人×有栖川有栖のミステリ･ジョッキー 第4回」。南條範夫「黒い九月の手」はパズルがまんま入ってて小説的に消化されていない、それに比べてエラリー･クイーン「ガラスの丸天井付き時計の冒険」はミステリとしてのロジックの確かさが素晴らしい、と云う評価が気に食わない。南條範夫のパズル面白いと思うけどなー。
歌野晶午「密室殺人ゲーム2.0 Q3 切り裂きジャック三十分の孤独」。うげー、おぞましいトリック。
高田崇史「千葉千波の怪奇日記･体育館の怪 首が転がる」。千波君シリーズは好きだから面白く読めたが、事件はイマイチどうでもいいかな。
赤城毅「書物迷宮 第二話 冷やしすぎた秘密」。一話が面白かったので、期待して読んだが、これもイマイチ。
古野まほろ「請君為人用心聴」。おお、天帝シリーズ。
深水黎一郎×徳谷ヒデキ「蜜月旅行」。海外旅行で心が行き違う夫婦と云うよくありそうな話だけど一ひねりきかせたオチもなかなか好き。
道尾秀介「カラスの親指」。無事完結。大オチにえー、と思わなくもなかったけど、全体的には面白かった。
二郎遊真「マネーロード」。メフィスト賞の先行掲載。文章が微妙だけど、続きは気になる。積んでるのでさっさと読もう。