町田康『実録・外道の条件』読了

実録・外道の条件

実録・外道の条件

「ファッションの引導鐘 1995年5月」怒りよりも意味不明すぎて少し怖さを感じる。
「ロックの泥水 1996年4月」一番面白かった。
「地獄のボランティア 1996年11月」「紐育外道の小島 1998年7月」恨み節が少し強いのが難点だが、江夏の口調で「俗に言う」と云うとか、尻に紐ぶら提げて猫と戯れるくだりとか、新宿サブナード洋服屋のくだりとかで大いに笑った。
怒りの共有と云うのは難しくて、少しでも愚痴っぽくなるとつまらないし、かと云って事実だけを淡々と述べても小説にならない。その点で「地獄のボランティア」と「紐育外道の小島」は多少愚痴っぽくてアレだなーと思ったが、概ね笑いながら読めたので成功しているんだろう。ただ他の著作と比べるとやっぱり少し物足りないかな。