奥泉光『モーダルな事象』読了。

モーダルな事象 (本格ミステリ・マスターズ)

序盤は「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」のサブタイトルどおり、三流大学の五流助教授の日常をどこかユーモラスな文体で描いていて、さくさく読めました。途中から元夫婦コンビ探偵が2時間ドラマ風のトラベルミステリをやり始めたのはいいんですが、中盤以降、助教授の悪夢なんだか現実なんだかわからない箇所がまじってきたあたりから読書スピードが落ちました。津原泰水『ペニス』ほど文章が濃密ではないなあと感じたためだと思います。ただまあオチを含め、それなりには面白かったです。