飛鳥部勝則『殉教カテリナ車輪』読了。

殉教カテリナ車輪

クロスレビューで『砂漠の薔薇』をやったときに、合耕さん（id:aikou）に飛鳥部読むと云ったまま早何年だろ？　読もうと思い立ったらなんかボンちゃんとかぶってるし（id:thebomb:20050607:1118134360）。まあそれはいいとして。
地味だけどよくできた本格でした。2つの別々の密室で、ほぼ同時に、同一の凶器によって起きた殺人、と謎もなかなか（解決はややしょぼい。が、あまり気にならなかった）。図像学も面白い。基本的にこのような空しい作業系が大好きなので。ただその図像解釈学がダイレクトに推理と結びつかないのが、残念と云えば残念。しかし、まあ悪く云えば図像解釈なんてこじつけに近いものがあるので仕方ない。むしろ無理矢理ミステリ的な推理と絡めたほうが印象は悪かったと思うので、これでよし。不満点は3重の入れ子構造のいちばん内側の手記部分が少し単調なとこ。それと、いちばん外側の井村の視点。必要なのかなーと思ったんだけど、あの仕掛けのためにはこうするしかないのか。でも全体的な文章や雰囲気は嫌いじゃないですし、他も読んでみます。と云って次読むのはいつのことやら。