有川浩『空の中』読了。

空の中

空の中

色々な要素が詰まっていてかなり楽しかったです。瞬と佳江の部分がジュブナイルと云うか青春小説と云うかまあそんな感じなので、高巳と光稀のパートがそれと対比してもう少し硬めであったらよかったなあと思いました。ぶっちゃけて云うと光稀の性格付けが悪い意味でラノベっぽくて(て云うかツンデレ)、それが邪魔に感じたのでした。しかし、そんなことよりも何よりもディック、そしてフェイクがかわいいのなんのって。フェイクはもう健気でいじらしいし、ディックも最初はお茶目。「こんにちは・お昼のニュースの時間です」って最後まで云ってほしかったなあ、って無理か。高度な知性を持つくせにほとんど知識がないために、僕たちが当たり前に見過ごしていることを改めて説明しなきゃいけない。その過程が文明批判的なものになってるのも好きです。余談ですが、読んでる途中は途轍もなくやりきれないラストを想像してしまいました。そうじゃなかったのはいいのか悪いのか。多分よかったんだろうな。