内田樹『街場の現代思想』読了

街場の現代思想

街場の現代思想

CLASSICAのブログ「街場の現代思想」(内田樹著/NTT出版) - CLASSICA - What's New!で紹介されていたので読んでみました。
冒頭でこう来ます。

近年の若い人の際立った特徴は、「特定ジャンル」への関心の集中である。それが文学であれ、映画であれ、音楽であれ、マンガであれ、興味のあるジャンルについては異常に詳しく、隣接するジャンルについてはしばしば何も知らない。

これはもうあらゆる人があらゆる文脈で指摘していることですが、当然私にも当てはまる訳です。数えたことはないけど持ってるCDの多分9割以上がピアノ関係。オペラ編曲ものとかが好きでよく聴く割に原曲についてはあらすじすら知らない。日本ではクラシックの代名詞にもなっているベートーヴェン交響曲のCDなんて1枚しか持ってない。しかもサントラ盤として買ったやつ。
更に、CLASSICAさんが引用している通り(ちなみにリンク先では引用文が少し間違っています。「血統による文化貴族」が記憶するのは「俳優の名前」ではなくて「俳優の役名」です。少し意味が違ってしまうので一応)、「学校による文化貴族」は「知識」を「経験」に優先させちゃうので「詳しいジャンル」と云ったってホントにただ「詳しい」だけのことになりがち。知らない曲のCDを買い漁り、無理してオペラに出かけても同じこと。しかも努力すればする程「血統による文化貴族」と差が拡がってしまう。
どうすりゃいいんだー、と叫んだところで著者は「プチ文化資本家」と云う救いの道を示してくれます。「もともと血統による文化貴族なんてのは我々の脳内にしかいない妄想の産物だったんだよ!」「な、なんだってー!!」と云う訳です(少し違う)。
そんな訳で私は、「成り上がり文化貴族は必ずや勤勉な差別主義者となる」と云う指摘(クラ板の状況はこの一言で表せるなあ)に留意しつつ、プチ文化資本家の星を目指してこれからも精進するとしましょう。

追記:CLASSICAのiioさんが上で指摘した引用文の誤りを直してくださいました。ありがとうございました。