西村京太郎『天使の傷痕』(講談社文庫)(amazon)読了。

第11回江戸川乱歩賞受賞作。
西村京太郎は中学生の時に友人に薦められたのがきっかけで結構読んでいたと云うイメージがあったのだがさっき本棚を見てみたら4作しかなかった。売ったりはしていない筈なのでこれしか読んでないと云う事だ。記憶なんて当てにならないものである。ちなみにその4作とは『七人の証人』『華麗なる誘拐』『十津川警部の挑戦(上・下)』『一千万人誘拐計画』。前二つは今でもお薦め。
当時友人が薦めてくれたのは確か『七人の証人』とこれだったと思う。これはずっと読んでみようと思いつつ未読だったので、9年ぶりにその思いが叶った事になる。しかし読んでみて、これを私に薦めたのは極めて個人的な理由によるものだったことがわかった。そう云えば志茂田景樹の小説でも同じような事があったな。
で、この作品だが、その友人は本格が好きだった筈なので私はこの作品もばりばりの本格だと云う予断を持って読み出してしまった。しかーし。ばりばりじゃなかった。まあ話自体はさくさく進む。だが意外性はない。それにトリックに結構期待していたのに肩すかし。イメージ湧かないよ。でもこれは本格だと思い込んで読んでしまったのが悪いわけで、最初から先入観なしで読めば普通に面白いと思う。少し古いけどそれは仕方無い。
でも解説(仁木悦子)ではこれは社会派ではなくて本格であると断言されているのでびっくり。そうなのかな。
その友人は西村京太郎の他にクイーンも薦めてくれた。幸い頂きモノの『Yの悲劇』があるので今度読もう。関係ないがその友人には乾くるみJの神話』を貸したまま何年も連絡を取っていない。